食品のパッケージが果たす多くの役割

パッケージ

食品を購入するときの判断基準は人によって異なります。
CMを見て食べたいと思った人もいれば、値段が手ごろという理由で手に取る人も少なくありません。
ですから一概にはいえませんが、どのような人の心理にも多かれ少なかれ影響を与えるものもあります。
それは食品が入っているパッケージのデザインです。
当然ですが、おいしそうだと感じさせるデザインであるほど買ってももらえる可能性が高くなります。

パッケージの良し悪しを決定づけるのはインパクト

そう言われても、どのような絵柄や文言が良いのか分からないという人もいるでしょう。
いつもスーパーなどで購入している商品でも、細かなデザインまでは覚えていないことが一般的です。
色や雰囲気しか思い出せないというケースがよくあります。
たとえば、いつも買っているカップラーメンをイメージしてみてください。
ほとんどの人は、頭の中にリアルに再現することは難しいと感じたでしょう。
そのような人も写真を見たら、それが自分の好きなカップラーメンであることを即答できます。
しかし、写真のレベルで思い浮かべようとしても失敗するのが一般的です。
実はこのことから重要な事実が明らかになります。
パッケージの良し悪しを決定づけるのは、細かなデザインではなくインパクトということです。
これに対しては、デザイナーの観点からは異論があるかもしれません。
いろいろと緻密な計算をして設計しているのに、意味がないと言われると気分が良くないのは当たり前です。
しかし、無意味と断定しているわけではないので誤解しないでください。
それどころか大いに影響があるケースも多々あります。
なぜなら、インパクトにも細かなデザインは大きく関わってくるからです。
たとえば、細かく描かれた街のイラストがとても優雅で美しかったとします。
そのインパクトをもたらしているのは、まぎれもなく繊細な街の描写です。
一つひとつが十分なクオリティで仕上げられることで、その融合体である全体図が素晴らしいものに仕上がります。
言い換えると、細部が雑に仕上げられている作品は、全体を通してもやはり雑であることです。

辛口のレトルトカレーを売る場合

これは食品のパッケージについても同様のことがいえます。
一つの作品としてじっくり鑑賞したときに、隅々にまでこだわっていることが分かるデザインが望ましいです。
消費者の目に入る時間はたとえ一瞬でも、そこに全精力を捧げてアピールする気概で向かていく必要があります。
以上の話は前提となるものであり、実際にはもっと具体的なテクニックを盛り込まなければなりません。
たとえば、辛口のレトルトカレーを売る場合、当然ですがターゲットは辛いカレーを食べたい人です。
そうなるとデザインによって、そのレトルトカレーが辛いことを明示しなければなりません。
ですから、唐辛子をイメージさせるような赤色をベースカラーに使うのが一般的です。
それは王道の考え方なので悪くはありませんが、ここで一つ大きな問題が出てきます。
似たパッケージが多すぎて、他社の製品と差別化が難しいという点です。
差別化を成功させたいなら、まったく違う方向から攻めてみると良いでしょう。
たとえば、赤ではなく黒をベースカラーに採用するのも一つの手です。
そうすることで高級レストランのような気品の良さが漂います。
辛口のカレーと高級レストランは決して関係性の深いものではありません。
むしろ、そのような場所でよく食べられるのは、むしろマイルドで上品な味わいのカレーです。
つまり、そのようなギャップがあるからこそ差別化によるインパクトが生まれます。
もちろん辛口と分かるように、大きめに書いておくような工夫も大切です。

開けやすさは食品の評判に関わってくる要素

食品のパッケージを検討するにあたり、他にも重要なことはたくさんあります。
たとえば、開けやすさは食品の評判に関わってくる要素です。
開けようとしたときに、破れて中身が飛び散るようなアクシデントを招いてはいけません。
開口部があまりに弱すぎると、そうなるリスクは高まるので注意しましょう。
だからといって開口部を頑丈にしすぎると、次はなかなか開けられない状態になりかねません。
いずれにせよ消費者はストレスを感じてしまい、味が美味しかったとしても次回の購入対象から外されてしまいます。
何度も実験を繰り返して、開けやすさと丈夫さを兼ね備えた仕上がりを目指しましょう。
開口部だけでなく、全体の保護力が優れていることもパッケージに求められます。
運搬時の衝撃などで、中身が崩れてしまうような脆さでは話になりません。
もちろん、食品を乱暴に取り扱わないことも大事です。
しかし設計する側としては、そのような扱いを受けても耐えうるものを目標にしましょう。
ここまでの要素をすべて満たすものを生み出すことは容易ではありません。
とはいえ、ヒット作を振り返ってみると満たしているものが多いです。
ただし、いきなりそのレベルに達するのではなく、バージョンアップを繰り返して達成したケースも珍しくありません。

出典元:朋和産業株式会社について