混合吐出の工程で気泡を減らすために現場でやってきたこと

最終更新日 2026年10月9日 by hiawas

車載電装部品メーカーで生産技術を15年担当してきた村瀬です。
ECUやインバーターのポッティング、放熱材の塗布工程をいくつも立ち上げてきました。

2液樹脂の混合吐出で、いちばん長く付き合ったのが気泡です。
硬化後に断面を切ってボイドが見つかると、どこで入ったのかを一から探すことになります。

この記事では、私が現場で続けてきた気泡対策を、気泡が入る場所ごとに整理して紹介します。

気泡は「どこで入るか」で分けて考える

原因を探すとき、私はまず次の3か所に分けていました。

入る場所よくある原因
材料・タンク容器の移し替えや手攪拌で空気を巻き込む
ポンプ・ミキサーミキサー交換の直後や吐出開始時にエアを噛む
塗布・ワークノズルが高すぎる、狭い隙間に空気が閉じ込められる

場所の見当がつけば、試す対策もかなり絞り込めます。

材料とタンクでやってきたこと

材料は、タンクに入れる時点ですでに空気を抱えています。
宮城県産業技術総合センターの研究報告では、2液シリコーンを手で10分混ぜた試料に多くの気泡が混在していました。
目視では泡が見えなくなった試料も、真空に置くと小さな気泡が集まって大きな泡になったそうです。

真空脱泡は、減圧で気泡を大きくして浮き上がる速さを上げる方法です(名古屋工業大学の技術シーズ資料)。
ただ、一気に引くと泡が吹き上がるので、私は少しずつ減圧するようにしていました。

先の研究報告では、蒸気圧に注意しないと材料自体の揮発で泡が出ることにも触れています。
真空度は、材料メーカーのデータシートで条件を確かめてから決めるのが安全です。

ポンプとミキサーでやってきたこと

ポンプ側にエアが入ると、吐出量や配合比がふらつきます。
気泡は見た目だけの問題ではないので、次のことを習慣にしていました。

  • 段取り替えのあとは、手順書どおりにポンプのエア抜きをする
  • ミキサーを付けたら、最初の数ショットは捨て打ちにする
  • 配管の継ぎ目は、締め付けと劣化を定期的に点検する

装置を選ぶときも、エア抜きのしやすさを確認項目に入れていました。
たとえばナカリキッドコントロールの微少量用2液型ディスペンサ「ν(ニュー)シリーズ」は、「高粘度液剤でもエア抜きがしやすいポンプ構造」をうたっています。

協働ロボットと組み合わせた実際の動きは、同社のWEBショールームにある放熱用2液ギャップフィラーの混合吐出デモで見られます。

塗布の仕方でやってきたこと

塗布で気を付けていたのは、ノズルの先端を低く保つことと、片側から流し込んで空気の逃げ道を残すことです。
部品が密集した場所や狭い隙間では、ワークを少し傾けるだけで気泡の残り方が変わりました。

放熱材では、ボイドがそのまま放熱性に響きます。
日産自動車の技術者による自動車技術会の論文でも、熱伝導シートを貼る工程で生じるボイドの影響を考えた熱抵抗の保証方法がまとめられています。

まとめ

  • 気泡は「材料・タンク」「ポンプ・ミキサー」「塗布・ワーク」の3か所に分けて探す
  • 真空脱泡は少しずつ減圧し、材料の条件を確かめてから使う
  • エア抜きと捨て打ちを手順に入れ、装置選びでもエア抜きのしやすさを見る

一度に全部を変えるより、入る場所を1か所ずつつぶしていくほうが、結果的に早く片付きました。
自社の材料で迷ったときは、装置メーカーのテストで実際に流してみるのも近道です。